任意整理における和解契約書の取り扱い

貸金業者との交渉が終わると、その内容について「和解契約書」を交わすことになります。この契約書を交わしてはじめて、貸金業者と交渉をした内容が法的に有効なものとなるので、専門家に任意整理を依頼している場合であっても、必ず記載内容には目を通すようにしましょう。

 

また、和解後はこの契約書の内容に則った返済が行われていくことになりますので、任意整理において和解契約書はとても大事な書面となっています。

 

和解契約書で記載される内容

和解契約書では、主に下記の項目が記載されることになります。もちろん場合によっては、これ以外の項目が追加されることもありますが、おおまかには下記を抑えておけば大丈夫です。

 

  1. 返済期間(いつまでに完済することになるのか)
  2. 返済金額(総額でいくら支払いをすることになるのか)
  3. 返済方法(どういった方法で返済をすることになるのか)
  4. 返済開始日(返済が開始するのはいつになるのか)
  5. 和解成立日(この和解契約書の和解が成立したのはいつか)

 

実際の記載条項の例について

それでは次に、実際の記載例についても見ていきましょう。実際の書面では、債権者は「甲」、債務者は「乙」といった具合になります。

 

1、 債権と債務の確認
乙は甲に対して○円の支払い義務があることを認める。
2、 返済方法
乙は甲に対して、毎月○円を前項の金員を甲指定の銀行口座に振り込んで支払う。
3、 期限の利益の喪失
乙が支払いを2回以上怠った場合は、甲の請求によって乙は直ちに残額を一括で支払う。
4、債権債務の不存在
甲と乙は、お互い本件和解契約書記載以外、一切の債権債務が存在しないことを確認した。

 

※「3」の期限の利益の喪失というのは、いわゆる過怠約款というものです。
簡単にではありますが、和解契約書については上記のような書面になります。

 

和解契約書は大事に保管しておこう

和解契約書は貸金業者側と自分用の2枚が作成されることになりますので、失くさないように大事に保管をしておきましょう。基本的に再発行してもらうようなことはできません。

 

専門家に依頼をした場合は、和解契約書の原本を預かっていてもらうといったことも可能ですが、専門家の3年間という書類保管義務の期限が定められていていますので、保管自体を断られてしまうこともあります。

 

また、任意整理の対象となった貸金業者がいくつかある場合は、必ずまとめて保管しておくようにし、実際に返済をするときには和解契約書の写しを手元に残しておくようにしましょう。