給与の差押えがされている場合の個人再生

個人再生の申立をする前に、すでに債権者から給与を差し押さえられている場合、個人再生の申し立てをすることはできるのでしょうか?

 

こういった場合は、個人再生の申立を急いだ方が良いです。給与の差し押さえをされてからでも、個人再生手続きは十分に間に合います。

 

というのも、個人再生を裁判所に申し立てることによって、給与の差し押さえを中断させることが可能となるのです。給与が差し押さえられたままでは、住宅ローンを支払っていくことも困難となってしまいますので、素早い着手が必要といえます。

 

裁判所への申立による効果

個人再生という手続きは、最終的に減額した債務を返済していく手続きです。つまり、一部の債権者にのみ返済をする行為というのは認められていません。これは、たとえ給与の差し押さえが理由だったとしても違いはありません。

 

個人再生手続きを申し立てたということは、今後、債権者に返済される可能性のある財産に手を付けられるようなことがあってはならないのです。よって、差し押さえは中止されるべきと考えられています。

 

ただし、こちらは裁判所に対して差し押さえの中止を申し出なければならないため注意しましょう。申立=中止ではなく、申立後の申し出によって差し押さえが中止されることになります。

 

開始決定による当然の中止

裁判所による個人再生申立書の精査が終わると、次は個人再生の開始決定が出ることになります。この開始決定が出たことによって、差し押さえは当然に中止されることになります。

 

申立の段階では申し出が必要でしたが、開始決定によって必ず差し押さえは中止されることになります。

 

債権者側も、開始決定によって中止されることをわかっていますので、個人再生を申し立てた事実を差し押さえしている債権者に伝えることによって、差し押さえ自体を取り下げることもあるほどです。

 

それほどに、個人再生の開始決定というのは法的にも重要な役割を果たしています。

 

認可決定により差し押さえは失効

開始決定の段階では、差し押さえの中止でしたが、これが認可決定に変わることによって、再生債務者にされたすべての差し押さえは効力を失うことになります。こちらは、差し押さえが法的にも完全に効果を失うという意味なので、ここまでくればもう安心といえます。

 

個人再生は、たとえ給与の差し押さえがされていたとしても、差し押さえの効力を失くすことができる手続きとなっています。

 

しかし、差し押さえをすでにされている場合は、個人再生の申立を一から勉強をしている時間はないため、申立を急ぐためにも必ず専門家への依頼を検討するようにしましょう。