債務の完済後でも過払い請求はできる

一度、完済によってすべての取引を終えている場合であっても、過払い請求はできるのでしょうか?完済した際に解約を行い、契約書の返還などがあった場合はこのような不安も出てきます。

 

結論としては、たとえ完済後、解約後であったとしても、過払い請求を行うことは可能です。

 

ただし、過払い請求は最後の取引から10年間で時効となってしまいますので、すでに完済している方は、完済から何年経っているかを、よく思い返してみてください。

 

完済ならば過払い請求は確実に

すでに完済している方の多くは、貸金業者との取引はすべて終わったものと考えていることがほとんどで、過払い請求の存在を忘れてしまっていることが多いといえます。

 

過払い請求が初めて認められ、貸金業者がこぞって金利を下げはじめたのが平成18~19年前後のことです。これ以前に貸金業者とキャッシングの取引があり、すでに完済をしている方は、金額の多寡はあっても、ほぼ確実に過払い金が発生しているといえますので、必ず過払い請求を行うようにしましょう。

 

取引の空白期間が長い場合

過払い請求が裁判にまで発展した場合、取引の空白期間が長いと貸金業者側と揉めることが多々あります。いったん完済した後(第一取引)、数年後に再度借入を再開している(第二取引)場合、第一取引については貸金業者側に時効を主張される恐れがあります。

 

過払いの時効が成立するのは、最後の取引から10年間となっていますので、第一取引終了から10年の経過がある場合、時効の主張は真っ当のようにも感じます。

 

しかし、それでは貸金業者側の思う壺です。実際には、その後に第二取引があるため、契約自体が終了していたわけではないという反論をしなければ裁判では負けてしまいます。

 

これを個別計算の主張一連計算の主張といいますので、個人で過払い請求をしている方は必ず覚えておくようにしましょう。

 

完済後の借入は専門家に相談を

上記のように、一度完済してからの再度の取引となると、かなりの確率で貸金業者側と揉めることになり、裁判外での交渉ではまず過払い金の全額回収は難しいといえます。

 

通常、過払い金の裁判で負けることはほとんどありませんが、裁判では双方の主張の正当性を裁判官が判断をしますので、その展開によっては敗訴し、まったく過払い金を回収できなくなってしまう可能性は十分にあるのです。

 

専門知識がない場合、貸金業者側に主張負けしてしまうこともありますので、裁判にまで発展してしまいそうな争点を含む場合は、専門家に依頼をしてしまったほうが、無難な解決が可能となります。