任意整理でよく聞く過怠約款とは何か

任意整理の交渉も一段落し、貸金業者と和解契約書を結ぶ際、ほぼ必ずといっていいほど過怠(懈怠)約款についての話題が出ることになります。過怠(懈怠)約款は「かたいやっかん」または「けたいやっかん」と読みます。漢字の表記は上記のどちらでも構いません。

 

この過怠約款、しっかりと理解していないと後々に損害金や一括請求を求められることになってしまいますので、必ず知っておくようにしましょう。

 

まずは過怠約款の意味を知ろう

過怠とは、簡単にいえば「責任を怠ること」をいいます。約款というのは「決めごと」のことをいいますので、過怠約款とは、「責任を怠った際の決めごと」ということです。

 

和解が成立することによって、実際に返済がスタートすることになりますが、貸金業者側は返済が必ずしもスムーズにいくとは考えていません。もし、仮にスムーズな返済がなされなかったときのために、過怠約款によってリスクを背負わせてきます

 

こちらは完全に貸金業者側が有利な条項となりますので、可能な限り外しておくべきですが、この交渉に応じてくれる貸金業者はなかなかいないのも実情です。

 

過怠約款の中身について

ありがちな過怠約款の内容としては、「返済が2回以上滞った場合、当然に期限の利益を失うこととなり、その翌日から完済に至るまで、年○%の損害金を付して弁済する」といったものや、「2回以上の返済が滞った時点で、その時点での残額を一括で支払わなければならない義務を負う」といったものもあります。どちらも決して良い内容とはいえません。

 

この過怠約款で最も重要となるキーワードは、「2回以上の返済が滞る」というものです。これさえ守っていれば、貸金業者側に文句をつけられることもありません。

 

和解契約書を交わす際は、過怠約款についてもしっかりと確認をしておき、返済が開始してからは十分に気を付けるようにしましょう。

 

もし返済が滞ってしまったら

やむを得ない事情があり、もし2回以上返済が滞ってしまった場合、まずは落ち着いて専門家へ相談をするようにしましょう。過怠約款が設定されていたとしても、貸金業者側はすぐに差押えといった強制執行手続きに入ることはできません。

 

ただし、裁判提起をされてしまう可能性は十分にありますので、法的手段に着手されてしまうまえに、なにかしらの対策を練る必要があります。

 

専門家であれば再度の和解交渉をすることも可能ですし、仮に裁判提起をされていたとしても交渉によって取り下げさせてしまうことも可能となっています。