貸金業者による過払い金の返還割合の違い

貸金業者によって過払い金への対応というのはそれぞれです。相手となった貸金業者によっては、5~6割程度でしか返金できないと言い張ることも、弁護士事務所の実務ではよくあることです。ひどいところになると、1~2割での返還を提案されることもあります。

 

どうせ過払い金が返ってくるのであれば、誰でも満額で返ってきてくれたほうがいいに決まっています。しかし、過払い金の回収というのは、貸金業者側との長い争いになってしまうこともあり、どこかで妥協点を見つけてしまった方が良い場合もあるにはあります。

 

貸金業者側も経営が苦しい

数年前に過払いブームが起きた際、多数の貸金業者が経営不振に襲われました。中には相次ぐ過払い請求の波に耐え切れず、いくつか倒産をしてしまった会社もあります。現在も稼働をしている貸金業者は、それをなんとか乗り切ってきたといえますが、それでもまだまだ苦しい経営状態が続いているようです。

 

こうしたことから、請求される過払い金すべてに対して全額での返済をしていけるほど余裕がない貸金業者が多く、なるべく低い金額での和解をしてこようと金額提示をしてくるというわけです。

 

過払い金の返還が良い貸金業者

では、どういった貸金業者が苦しい経営をしているのか?それは、バックに銀行がついていない貸金業者です。

 

バックに銀行がついているといった、いわゆる銀行系の貸金業者は、過払い金に対しても比較的寛容で、8割近い金額の提示を積極的に行っています。ただし、満額での返還は任意交渉では応じてくれないことがほとんどです。

 

どうしても満額回収がしたいのであれば、過払い金返還訴訟を提起して、裁判所で争いをしなければなりません。

 

返還割合が悪い貸金業者に対して

どうにも返還割合が悪い貸金業者に対しては、強制執行手続きをするしかありません。強制執行手続きをするには、まず、裁判所から勝訴判決(債務名義)を取る必要があります。

 

さらに、強制執行をするにしても、相手となる貸金業者名義の銀行預金の口座番号などを把握している必要もありますので、なかなか容易にいく手続きではありません。

 

どうしても時間も手続き費用もかかってしまうことになりますし、必ずしも回収できるという保証があるわけでもありませんので、強制執行まですべきかどうかはよく検討しましょう。

 

なかなか納得のいく返還額を出してこない貸金業者がいる場合は、専門家に相談をし、回収の手助けをしてもらうのが一番良い方法といえます。